司法書士 石井 一寛(石井・小島合同司法書士事務所) > 記事一覧 > 相続発生から申告手続きの流れと期限
■相続手続きの大まかな流れ
相続手続きは、大まかにいえば、①情報収集、②遺産分割、③名義変更・相続税申告手続きという流れで進行していきます。
相続手続きの中には期限が設けられているものもあるため、各種手続きの期限から逆算して、計画的に進めていくことが大切になります。
■被相続人の死亡から3か月以内
①相続人・相続財産調査
相続をするか否か、相続財産をいかにして分割するかを判断するためには、相続人や相続財産を調査して確定する必要があります。
相続人は、被相続人の戸籍謄本を入手して家族関係を確認することにより調査します。相続財産は、固定資産税評価証明書や名寄帳から不動産を調査したり、キャッシュカードや通帳から銀行預金を調査したりして確定していきます。
②遺言書の確認
遺言書の有無によって、相続の方法は大きく変わってきます。そこで、自室に遺言書が補完されていないか確認する必要があります。
自筆証書遺言が発見された場合、開封せずに検認の申立てを行います。これにより、裁判所で遺言内容が確認され、証拠が保全されることになります。裁判所外で勝手に開封してしまうと過料が課される場合があるので注意しましょう。
③相続放棄・限定承認
相続財産調査の結果、相続財産が全体としてマイナスになってしまうような場合には、相続放棄によって債務を免れるという選択肢も考えられます。また、限定承認を行うことにより、相続で得たプラスの財産額の限度でマイナスの財産を負担することも可能です。
相続放棄や限定承認を行う場合、被相続人の死亡を知った時から3カ月以内に管轄の家庭裁判所に申立てなければなりません。したがって、相続人・相続財産調査や遺言書の確認についても、早めから進めておく必要があります。
なお、条件を付けずに通常通り相続する場合、裁判所に対して意思表示を行う必要はありません。
■被相続人の死亡から10か月以内
④遺産分割協議
相続人が複数人おり、遺言書による遺産分割方法の指定が行われなかった場合、相続財産は相続人全員による共有状態となります。遺産共有状態を解消しないと、不動産等の処分が自由にできない等の不具合が生じます。そこで、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議では、相続割合に基づいて遺産分割方法を話し合います。協議の方式については特に定めがないため、全員の合意に至ることができればどのような方法をとっても構いません。例えば、オンラインでのやりとりにより協議しても構いませんし、一人が草案を作成し、他の相続人がこれに対し意見を述べる形をとっても構いません。
相続人全員の合意に至り、遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成しましょう。
⑤名義変更手続き
相続財産として名義登録のある財物を取得した人は、名義変更手続きを行う必要があります。例えば不動産を取得した人は、必要書類を法務局に提出し、相続登記を行います。
⑥相続税申告
相続税が発生した場合や、特別控除を利用した場合には、相続税申告を行わなければなりません。相続税申告には被相続人の死亡から10か月以内という期限が設けられており、これを過ぎてしまうとペナルティが発生することがあります。
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