司法書士 石井 一寛(石井・小島合同司法書士事務所) > 記事一覧 > 遺言書のない相続|相続人は誰?
遺言書がない場合、誰が相続人になるのか不安に感じる方は少なくありません。
相続人の範囲は民法により明確に定められており、配偶者や子、両親、兄弟姉妹など一定の順位があります。
遺言書がない相続では、財産を具体的に分けるために遺産分割協議を行うことが一般的であり、まず正確な相続人調査を行うことが重要です。
遺言書が残されていない相続では、民法第907条に基づき、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行うことができます。
遺産分割協議では、誰がどの財産をどれだけ取得するかを決定し、全員の合意を得なければなりません。
協議が整わなければ、法定相続分による共有登記となる場合や、一部の預貯金払戻しに制約が生じる可能性があります。
2024年4月からは相続登記が義務化され、不動産を相続した場合には相続を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。
正当な理由なく期限を過ぎると5万円以下の過料が科される可能性があるため、速やかに遺産分割協議を進めることが求められます。
遺産分割協議を行うためには、まず法定相続人が誰であるかを正確に把握することが出発点となります。
この手続きを怠ると、後から新たな相続人が判明した場合に協議が無効となり、すべてやり直しとなるリスクがあります。
民法第887条から890条では、遺言書がない場合に誰が相続人となるかが定められています。
配偶者は常に相続人となり、それ以外の親族には順位があります。
第1順位は子や孫などの直系卑属です。
子が既に亡くなっている場合は孫が代襲相続します。
第2順位は父母や祖父母などの直系尊属で、子や孫がいない場合に相続人となります。
第3順位は兄弟姉妹で、直系卑属も直系尊属もいない場合に初めて相続人となります。
配偶者がいる場合は配偶者と各順位の相続人が共同で相続します。
配偶者と子がいる場合は配偶者と子が相続人となり、両親や兄弟姉妹は相続人になりません。
配偶者のみで子がおらず、父母も既に他界している場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
法定相続人を正しく把握しないまま遺産分割協議を行うと、後に協議が無効となるリスクがあるため注意が必要です。
相続人調査は、相続手続きを適正に進めるための必須手続きです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、法定相続人を確定させることで、後のトラブルを防ぐことができます。
相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を収集します。
戸籍法に基づき、本籍地の市区町村役場で戸籍謄本を取得できます。
被相続人が転籍や婚姻により本籍地を移している場合、すべての本籍地から戸籍を取り寄せる必要があります。
戸籍には、子の存在や養子縁組などの身分関係が記録されており、法定相続人の範囲を確認するための重要な資料となります。
古い戸籍は手書きで作成されていることもあり、内容の確認に時間を要するケースもあります。
出生から死亡までの戸籍を確認することで、相続人の調査漏れや、後から新たな相続人が判明するリスクを軽減しやすくなります。
収集した戸籍をもとに相続関係説明図を作成します。
この図により、誰が法定相続人であるかが一目で分かります。
金融機関や法務局での手続きでは相続関係説明図の提出を求められることが多く、正確な図の作成が不可欠です。
相続関係説明図は、相続人の氏名、生年月日、被相続人との続柄などを記載した家系図のような書類です。
戸籍の読み取りには専門知識が必要となる場合があるため、司法書士などの専門家に依頼することで正確な図を作成できます。
相続人調査は一見シンプルに見えますが、実務では思わぬところでつまずくケースがあります。
たとえば、被相続人が複数回の婚姻歴を持っている場合や、認知した子がいる場合、相続人の範囲が複雑になることがあります。
また、転籍を繰り返している場合は戸籍の収集先が複数に及び、すべての戸籍を正確に揃えるには時間と手間がかかります。
古い戸籍の読み取りも難易度が高く、内容を誤って解釈すると相続人の見落としにつながるおそれがあります。
このような場合には、専門家に依頼することで正確な相続人調査が可能となり、後のトラブル防止につながります。
特に相続登記の期限がある現在では、早い段階で正確な調査を行うことが重要です。
遺言書がない相続では、財産を具体的に分けるために法定相続人全員による遺産分割協議を行うことが一般的です。
相続人の範囲は民法により定められており、配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹の順に相続権が発生します。
相続手続きの第一歩は、被相続人の戸籍を収集して正確な相続人を確定することです。
戸籍収集には専門的な知識が求められる場合もあり、不備があると遺産分割協議が無効となるリスクがあります。
また、2024年4月からは相続登記が義務化されており、3年以内の手続き完了が求められるため、速やかな対応が重要です。
相続手続きに不安がある場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談しながら適切に進めることが大切です。