司法書士 石井 一寛(石井・小島合同司法書士事務所) > 記事一覧 > 抵当権とは?根抵当権との違いと選び方
不動産を担保に融資を受ける際、抵当権と根抵当権のどちらを設定すべきか迷う方は少なくありません。
どちらも不動産を担保とする点は同じですが、担保する債権の範囲や利用目的が大きく異なります。
本記事では、抵当権と根抵当権の基本的な仕組みと違い、それぞれに適した利用場面について解説します。
抵当権とは、特定の債権を担保するために不動産に設定される権利です。
民法では、債務者が債務を返済できない場合に、債権者が担保不動産を競売にかけて優先的に弁済を受けられると定めています。
住宅ローンが代表例で、借入金額と返済期間が明確に決まっている融資に適しています。
返済が進むにつれて被担保債権額は減少し、完済すれば抵当権を抹消できる点が特徴です。
登録免許税は債権金額の1000分の4が基準となり、借入時に登記費用が発生します。
たとえば2000万円の住宅ローンであれば、登録免許税は8万円となります。
完済時には抵当権抹消登記を行うことで、担保関係を終了させることができます。
根抵当権とは、一定の範囲内で継続的に発生する不特定の債権を担保する権利です。
民法では極度額の範囲内であれば、何度でも借入と返済を繰り返せると定めています。
事業資金の融資や企業の運転資金など、継続的な取引関係がある場合に利用されます。
極度額を3000万円で設定すれば、その範囲内で複数回の融資を受けることが可能です。
度設定すれば、取引ごとに登記し直す必要がないため、事務手続きの負担を軽減できます。
ただし極度額に対して登録免許税が課されるため、初期費用は抵当権より高くなる傾向があります。
たとえば極度額3000万円の場合、登録免許税は12万円となります。
返済と借入を繰り返しても、極度額の範囲内であれば追加の登記費用は発生しません。
抵当権と根抵当権には、担保する債権の範囲や利用場面、登記費用などにおいて明確な違いがあります。
抵当権は特定の1つの債権のみを担保します。
住宅ローン2000万円であれば、その2000万円だけが対象です。
返済が進めば被担保債権額も減少し、完済すれば抵当権は消滅します。
一方、根抵当権は極度額の範囲内で複数の債権を担保できます。
たとえば極度額3000万円で設定すれば、1000万円の借入を完済した後、再び2000万円借りることも可能です。
債権の種類も限定されず、手形貸付や当座貸越など、さまざまな取引を担保できます。
抵当権は住宅ローンや自動車ローンなど、金額と期間が確定している融資に向いています。
返済計画が明確で、完済後は担保を外したい個人の方に適しています。
一方、根抵当権は事業融資や当座貸越など、繰り返し借入を行う事業者向けです。
資金需要が変動する企業や個人事業主が、安定的に資金調達できる仕組みとなっています。
抵当権は債権額に応じた登録免許税が発生し、完済時には抹消登記が必要です。
2000万円の借入であれば8万円、3000万円であれば12万円の登録免許税がかかります。
根抵当権は極度額に対して課税されるため初期費用が高めですが、繰り返しの融資でも登記し直す必要がありません。
極度額3000万円で設定した場合、登録免許税は12万円となります。
複数回の借入を予定している場合、トータルのコストは根抵当権の方が抑えられる可能性があります。
抵当権と根抵当権のどちらを選ぶかは、資金の使途と今後の借入予定によって判断します。
マイホーム購入やリフォームなど、一度きりの借入であれば抵当権が適しています。
一方、事業を営んでおり運転資金や設備投資資金を継続的に調達する予定がある場合は、根抵当権の方が利便性とコスト面で有利です。
ただし将来的な事業計画や返済能力、金融機関との関係性も考慮する必要があります。
専門家である司法書士に相談することで、ご自身の状況に応じた担保設定方法の選択や登記手続きを進めやすくなる可能性があります。
抵当権は特定の債権を担保し一度の融資に適しており、根抵当権は継続的な借入を前提とした事業者向けの制度です。
どちらを選ぶべきかは、借入の目的や今後の資金計画によって異なります。
住宅ローンなど単発の融資には抵当権、事業資金の調達には根抵当権が向いていますが、ご自身の状況に応じた適切な判断が求められます。
登記手続きには専門的な知識が必要であり、登録免許税の計算や必要書類の準備にも注意が必要です。
司法書士に相談することで、法的リスクを回避しながら手続きを進めやすくなる可能性があります。